勧進帳
かんじんちょう
本外題…勧進帳
通称…勧進帳
初演…天保11(1840)年
作者…三代目 並木五瓶
主な登場人物
・源義経(兄・頼朝に追われる武将)
・武蔵坊弁慶(義経の家来)
・富樫左衛門(安宅の関守)
能の「安宅」をもとにした演目で、能舞台のように大きな老松を舞台背景に描いた松羽目物(まつばめもの)で、歌舞伎十八番の一つ。
兄・源頼朝から追われる身となった義経は弁慶をはじめとする家来たちとともに、山伏姿に変装し、奥州の藤原秀衡を頼って落ちのびようとしました。
加賀国・安宅の関を通ろうとする義経一行。
しかし、一行が山伏姿に変装しているという情報が入っており、ここで関守・富樫の審問を受けます。
義経一行は東大寺再建の勧進をする山伏(つまり寄付を集める修行僧)だと言って通ろうとします。
それならば勧進帳を読めと言う富樫。
弁慶はとっさに適当な巻物を取り出し白紙の巻物を勧進帳であるかのように読み上げます。
さらに富樫は問いただすも弁慶は見事に答えてみせる。
富樫は一行の通行を許そうとするが、一番最後に関所を出ようとした強力(荷物持ち)が義経に似ていると気づく。
弁慶は、わずかな荷物でよろけるから義経に間違えられるのだと金剛杖で義経を叩きのめす。
それを見た富樫は主君を打ってまで助けようとする弁慶の心を察し一行の通行を許します。
安宅を抜けて弁慶のとっさの機転に感謝する義経。
義経を守るためとはいえ叩いたことを涙ながらに詫びる弁慶。
そこへ富樫が追ってきて、先ほどの非礼を詫び酒をふるまいます。
富樫は義経であるとわかった上で見逃してくれていると弁慶は悟った。
弁慶はここで延年の舞を舞います。
どさくさにまぎれ一行は出発。
弁慶は富樫に深く一礼し、先に出発した義経たちを追って飛び六法で豪快に去って行くのであった。
勧進帳の読み上げから不動の見得、山伏問答、元禄見得、石投げの見得、延年の舞、、と見せ場が続きますが
何と言っても勧進帳といえば最後の飛び六方が見ものですよね。
飛び六方(とびろっぽう)は
天地東西南北の六つの方角に手足を大きく動かし
右手足、左手足をそれぞれ同時に出し飛ぶように力強く花道を引っ込むことをいいます。
弁慶を勤める役者にとっては疲れもピークに差し掛かった終盤にこれがあるのだから…それはそれはものすごい体力です。