ふじむすめ
藤娘
本外題…歌へすがへす余波大津絵
通称…藤娘
初演…文政9年(1826)
作者…勝井源八
主な登場人物
藤の精(大津絵から抜け出した藤娘)
当時は大津絵の中から藤娘が飛び出すような振付だったそうですが、
現在では藤の精が娘となって姿を現し、そしてまた夕暮れに姿を消すという演出です。
理屈抜きにただただ美しいと思いながら観ていられる、
あまりにも有名な人気曲です。
幕開きは舞台は真っ暗。
そのまま長唄があって、柝(き)の音が入ると舞台がパッと明るくなります。
そこには塗笠をかぶった美しい藤娘が藤の枝を持ち立っています。
本当に妖精のような、(今風に言えばまるでCGのような?)美しい藤娘。
娘は藤の枝をかざして可憐に踊ります。
浮気性な男を恨む詞章でしっとりと、手踊りも美しい。
続いて「藤音頭」と言われる部分に入ると藤娘は酒を飲み、
酔いがまわって、なまめかしく踊ります。
曲が一変して拍子に乗って派手に踊っていると夕暮れをつげる鐘の音が…。
藤娘は再び藤の枝をかついで消えて行くのであった。
これを二人で踊る「二人藤娘」も拝見したことがありますが、
美しい藤娘が二人で踊れば、場内はうっとりため息…
とても美しく夢心地でした。