
歌舞伎辞典
kabuki jiten by Tomoko Shimokawa

日本全国の歌舞伎に関するあげなとこ、こげなとこ。(あんなとこ、こんなとこ。)
いつもとは違った角度から歌舞伎に触れてみる。
すると、また違った歌舞伎の顔が見えたような気がしてさらに奥深く歌舞伎を愛せることでしょう。
わたくし下川智子が実際に行ってまいりました感想と写真を含めご紹介いたします。
まだまだ行きたいところがたくさんあります。
随時このページでみなさまに共有できたらと思っておりますので、どうぞお付き合いくださいませ。
福岡編

嘉穂劇場
かほげきじょう
ところ 福岡県飯塚市
(福岡県飯塚市飯塚5-23)
今回は
筑豊の芝居小屋「嘉穂劇場」の見学に行ってまいりました。
歌舞伎はもちろん、様々な演劇や舞踊、演奏、イベント等、現在でも活躍し続ける昔ながらの芝居小屋です。
最大で1,200人も入るそうです(公演による)。
結構入るんだな〜
だって博多座だと最大1,500人なんです。
昔の芝居小屋はぎゅーぎゅーですが
舞台と客席が近いのが良いですよね。
嘉穂劇場の前身「中座」は1922(大正10)年に開場。
当時は炭鉱で働く方の娯楽施設として賑わいました。
火災や台風による倒壊があり、
1931(昭和6)年に「嘉穂劇場」として再開場。
こちら展示してあった写真です。



2003(平成15)年九州北部豪雨により浸水し深刻な被害を受けました。
多くの役者さんや芸能人、嘉穂劇場を愛する人々による復旧のチャリティイベントが開催されました。
募金や援助も受け、2004(平成16)年に復興。
2006(平成18)年には国の登録有形文化財に登録され、
今も市民を始め、多くの方に愛されています。
公演日と定休日をのぞいて
劇場内を見学できます。

センターに立つことも許されます(笑)
ここから見える景色を噛みしめます。
舞台上手奥には
小道具部屋があります。
(※上手(かみて)=客席から見て右側)




か…可愛すぎる。
しかしお手を触れませぬよう(*^^*)

おぉ〜!
天井の吊るしものを上げ下げするんでしょうね。この綱で。
さて
次は奈落の底へまいりますよ〜


舞台そでの小さな階段をおります。
ワクワクしますがここからは頭上注意ですね(笑)

本などではさんざん見た光景ですが、やはり実物はすごい!
これをいまも人力で動かしてらっしゃるそうです。



163cmの私でまっすぐに立てる空間もあるのですが
基本的には少しかがんで移動しないと危ないですね。
いろんなところから柱が出てます。
奈落から花道の真下へ

もう本当たまらない空間ですよね〜!!
いろんな役者さんがここを駆け抜けたんですね。
それにしても浸水したとは思えないほど今はとっても綺麗になっています。
本当に良かったですね。

さて花道の真下を通って鳥屋(とや)に出てきました。
鳥屋からの景色を堪能。


歌舞伎役者になったつもりで鳥屋から登場してみたり(笑)
花道からの景色もいちいち噛みしめます(笑)

鳥屋に小窓がついています。
舞台の進行状況を見てタイミングをはかるのでしょう。
ちょっと…
はしゃぎすぎました(笑)
次は2階へ行きますよ〜

赤が素敵ですね。
2階からの景色はこんな感じです。

2階のいろんな角度から、
いちいち噛みしめます(笑)

天井はシンプルで何も描かれておりません。
2階の展示スペースにはスターさんのサインや当時の小道具など、本当に貴重なものをたくさん展示してくださっています。
歌舞伎好きじゃなくても昭和世代の方も楽しめると思います。

すごい。。

客席用の火鉢。
暖をとる以外にスルメも炙ったといいます。
今では考えられませんが、良い時代だったんだなぁ。
立ち止まるポイントが多すぎます(笑)。
本当に楽しくてなかなか次へ進めません。

…殿方皆殺し(笑)。
そうそう公演記録を見るとここではストリップなどもやっていたそうですね。
おおらかな時代ですよね。

私が見学に行った時はちょうど雛祭りの期間中でいろんなお人形さんも楽しめました。
毎年されてあるみたいです。
公演日と定休日を除いて
このように見学させていただけますので皆様もぜひ足を運んでみてはいかがでしょう。
自由に見れるのが嬉しいですよね♪
噛みしめる時間もたっぷりと(笑)

帰りたくないです〜(笑)
本当に楽しかったです。
ありがとうございました。

七代目市川團十郎博多来演之碑
ななだいめ いちかわだんじゅうろう はかた らいえん のひ
ところ 福岡市 中島公園
(福岡県福岡市博多区中洲中島町5)
福岡の中心部、天神北方面から弁天橋を渡ったところに中島公園という小さな公園があります。
私も地元なんですが知りませんでした。
治安的には別に悪くはないんですけど、夜は真っ暗だと思います。
中洲の近くということもあり?奥にはラブホがちらほら見えますね。
ベンチにはおじ様お昼寝中。。。
隅にあるトイレも汚い感じ、雑草も生え放題で
手入れは行き届いてない感じですね。
ネットではタクシーの運転手のたまり場とか書いてありました。。(笑)
人通りも少ないし休憩やお昼寝にはちょうどいい場所ってことですかね。
で、こちらが記念碑です。

市川團十郎博多来演之碑
十代目市川海老蔵 書

十代目市川海老蔵は
当代海老蔵さん(2020/11現在。團十郎襲名予定がコロナで延期中)のお父様ということですね。
そのまま目を落とすと説明があります。

写真が見にくいので文字にしました。
▼改行などそのままかきます。
江戸歌舞伎の宗家・七代目
市川団十郎(市川海老蔵)
は天保五年(一八三四)十月
に博多中島浜新地で豪華な
歌舞伎を興行して今日の中
洲繁華の基を開いた。甘木
長崎からの帰途も再演して
翌年江戸へ帰ったが九州に
おける収穫は後に「博多小
女郎浪枕」等の舞台で活用
された。
今年はその博多来演から百
四十年に当たるのでゆかり
の地中島公園に記念の碑を
建立する。
昭和四十八年五月
と書いてあります。
140年ってまた微妙な…
150とか200なら区切りがいいけどとか思ったりして。
で、後ろを覗くとこんな感じです。

「博多幕間會」とありますね。
調べたのですが、ネット上にも見つけられず、、
まぁ、地元の会によって建てられたということですね。
福岡の歌舞伎といえば
毎年二月が花形歌舞伎、六月が大歌舞伎というのが博多座の恒例となっています。
博多座が開場したのが平成11年(1999年)。
こけら落としが十二代目團十郎さん、当代(七代目)菊五郎さん、
そしてこの記事を書くつい数日前にお亡くなりになった四代目坂田藤十郎(当時は鴈治郎)さんですね。
以降、六月の大歌舞伎というのが初夏の博多の風物詩。
私も学生の頃から博多座の歌舞伎がとっても楽しみでした。
なので團十郎と博多ってこういった古くからの縁があるんだなと勉強になりました。
地元なので非常に興味深かったです。
記念碑に書いてある
「博多小女郎浪枕(はかたこじょろうなみまくら)」という演目は
人形浄瑠璃文楽では享保3(1718)年に竹本座で初演され
歌舞伎では天保8(1837)年に七代目團十郎が毛剃を演じて以来、毛剃中心の芝居となったのだとか。
毛剃(けぞり)ってこの演目に登場する役名ですね。
毛剃九右衛門(けぞりくえもん)、すごい名前。。
近松門左衛門作の世話物です。
歌舞伎の「毛剃」の原作のようです。(ちょっとここあまり詳しくないので何かわかったらまた付け加えると思います)
ということで、やっぱり実際に行くと面白い。
こげなとこに!っていつも思います。
ではまた。